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地熱利用と熱回収を行う換気システムスーパー澄家

健康的な室内環境に換気が大切な理由

最近ではシックハウス症候群や化学物質過敏症といった、室内の空気質を原因とする健康障害が新聞やテレビのニュースなどで報じられることも減りましたが、なくなったわけではありません。今でも特定の住宅や建物の中にいると、頭や目・鼻・ノドが痛くなったり、めまいや吐き気がしたりなどの症状が出るケースがあると聞こえてきます。

その原因として指摘されているのが、壁・床に使われている建材や家具、カーペット、カーテン、日用品などから放散される化学物質。代表的なものとしては、ホルムアルデヒドやトルエン・キシレンといった物質が挙げられ、これらはまとめて揮発性有機化合物=VOC(Volatile Organic Compounds)と呼ばれています(※厳密に言えばホルムアルデヒドなどアルデヒド類の物質はVOCではありませんが、ここでは健康に害を及ぼす化学物質の総称としてVOCに含めます)。

シックハウスのイメージ(国土交通省資料より)

VOCを原因とするシックハウス症候群や化学物質過敏症は、実はかなり前からあったと言われています。ほとんど話題にならなかったのは、医者や周囲の人たちが気のせいだとか、気分的なものだとして考え、病気であることがなかなか認められなかったからです。

しかし、平成に入りしばらくすると、これらの病気の症状を訴える人が徐々に目立つようになり、社会的にシックハウス症候群や化学物質過敏症が認知されるようになってきました。その原因としては住宅の気密性の向上や化学建材の使用量増加などを背景に、室内空気中のVOC濃度が高くなったからだと言われていました。もともと住宅の断熱・気密・暖房・換気はセットで考えるべきものですが、断熱・気密性だけ高めて換気をおろそかにしていたりする住宅も当時は目に付いたほか、様々な化学物質を原料にして、工場での大量生産で安価に供給できる建材を使う住宅が多くなっていたためです。

国ではVOCの室内空気汚染によるシックハウス症候群や化学物質過敏症を抑えるため、平成9年(1997年)にホルムアルデヒドの室内濃度指針値を設定し、『快適で健康的な住宅に関するガイドライン』を策定。平成12年(2000年)には新たにトルエン、キシレンなど3物質の室内濃度指針値を設定するとともに、VOCの標準的な測定方法についても策定しました。そして平成15年(2003年)には改正建築基準法、いわゆるシックハウス新法を施行。ホルムアルデヒドの放散量が少ない内装建材の使用と、クロルピリホスを含む建材の使用禁止、換気回数0.5回/時以上を確保できる機械換気設備の設置が義務化となったのです。

その後、少しずつシックハウス症候群や化学物質過敏症の事例を聞くケースは減っていきましたが、完全にゼロになったわけではありません。機械換気設備が設置されていても気密性が悪かったり、メンテナンスをしていないために設計通りの換気量が確保されていない住宅も少なくないほか、住まい手が「寒くなるから」「電気代がもったいないから」といって換気を止めてしまったために室内の空気質が悪化することもあります。また、ホルムアルデヒドなど規制されているVOCに代わって建材に使われるようになった化学物質が新たに問題となっているとも言われています。これからも健康に暮らせる住宅を造っていくためには、快適性を損ねることなく少ないエネルギーで計画通りの換気量を確保できる換気システムと、VOCをできる限り抑えた建材等の使用が欠かせないのです。

換気がしっかり行われている住まいは、森林の中にいるような爽やかさがあります

網走を中心にオホーツクで健康性を重視した高断熱・高気密住宅に取り組んできた光輝建設では、性能・仕様・プラン・デザインについて、お客様のご要望にわたしたち住宅建築のプロの考え方や経験を取り入れながら最適なご提案を行っていますが、その基盤となる技術が「4倍断熱」と「スーパー澄家(すみか)」。ここでは住まい手の健康と快適性・省エネ性を両立したオリジナルの換気システム「スーパー澄家(すみか)」についてご紹介します。


換気方式の種類とメリット・デメリット

換気システムには種類があることをご存知でしょうか。基本的には室内に屋外の新鮮な外気を導入する“給気”と、室内の汚れた空気を屋外に出す“排気”をどう行うかによって大きく第1種換気・第2種換気・第3種換気に分けられます。

■第1種換気
第1種換気は、給気・排気それぞれ専用のファンで行う機械給気・機械排気方式。排気の熱を給気する外気に受け渡す、いわゆる熱交換ができる換気システムで、冬は給気する外気の冷たさや暖房に必要なエネルギーも抑えることができる点がメリットです。熱交換は空気中の水蒸気も交換できる全熱型と、熱のみ交換する顕熱型があります。ただ、ファンが2つ必要になるため、第2種・第3種換気よりも電気代がかかるほか、厳寒時には熱交換素子が結氷して熱交換できない場合があること、熱交換素子・フィルターのメンテナンスが必要なことなどが採用時の注意点として挙げられます。また、熱交換の効果を得るためには、住宅の気密性も高いレベルが求められます。

■第2種換気
第2種換気は、給気のみファンで行い、排気は排気口から自然に屋外へ排出する機械給気・自然排気方式。第1種・第3種と比べると、採用例は最も少ないと言えます。給気したい場所に確実に外気を導入できるのが大きなメリットで、設置費用と電気代も第1種ほどかかりませんが、強制的に外気を室内に押し込むため、防湿・気密施工がしっかり行われていないと室内の湿気が壁の中や天井裏に入る可能性があることに注意が必要です。

■第3種換気
第3種換気は、壁などに設置した給気口から自然に外気を室内に導入し、排気はファンで行う自然給気・機械排気方式。居室に給気し、トイレやユーティリティ、浴室などから排気を行うことで、室内を効率的に換気することができるほか、設置費用・電気代ともに第1種より安く、メンテナンスも基本的に給気口回りの掃除だけで済みます。現在では最も多く採用されている換気方式ですが、給気口の設置場所に注意しないと、冬には給気される外気によって住まい手が冷気感を感じることもあります。

ダクト配管をしない壁付けのパイプファンを換気に使う住宅会社もあります

いずれもダクト配管を行うダクト方式と、ダクト配管を行わないダクトレス方式があります。また、給気・排気ともファンを使わず、主に屋外と室内の温度差を利用して室内に導入した外気を温め、「温められた空気は上昇する」という自然の原理で屋根回りから排気を行うパッシブ換気システムを採用する住宅も見受けられます。

光輝建設が標準採用しているオリジナル換気システム「スーパー澄家(すみか)」は、換気方式としては第3種ですが、給気する外気を地中熱と排気熱の両方と熱交換することができ、メンテナンスの手間や設置費用も最小限。第3種でありながら第1種のメリットを兼ね備えた換気システムとして、住まいの室内空気質を良好な状態に保つとともに、熱交換効果によって快適性の向上と暖房のエネルギー負荷削減に大きな役割を果たしています。


第1種換気の給気加温・熱回収効果を第3種で実現

スーパー澄家システム図

それでは「スーパー澄家(すみか)」のシステムを詳しく説明しましょう。

換気システムは、VOCと湿気を含んだ室内の汚染空気を屋外に排出することによって、VOCの空気中濃度低減や結露の抑制が可能になるため、快適で健康的な室内環境を創る有効な手段の一つです。しかし、自然給気・機械排気による一般的な第3種換気システムでは、直接外の空気を室内に入れるため、冬は給気される外気によって居住者が寒さを感じ、壁の給気口廻りでは結露を起こすこともあります。

 そこで、このような問題を全て解消し換気システムとして、光輝建設では独自に「スーパー澄家」を開発。壁給気・天井排気という今までの一般的な換気システムの常識をくつがえし、基礎断熱を前提として排気ファン本体を1階床下に設置することで、適切な換気径路の確保や効率的な給排気、地中熱・排気との熱交換による給気加温と暖房エネルギーの削減、イージーメンテナンスなどを可能にした地中熱交換型第3種換気システムです。

具体的には、断熱基礎の外気取り入れ口から新鮮外気を床下に取り込み、地中熱と熱交換を行った後、さらに床下のチャンバーで排気と熱交換を行い、寒冷地用エアコンの上部に設けた給気口から室内に給気。給気された新鮮外気はエアコンで加温され、室内で拡散・対流した後、各部屋床面に設けた排気グリルからダクトを通じて床下のチャンバーに集められ、屋外へ排気されます。

ちなみに床下のチャンバーの内部は、給気が通る部分と排気が通る部分に分けた2重構造とすることで、床下に導入した新鮮外気と排気との熱交換を実現。住宅に設置した状態で測定を行った結果、熱交換効率は57%。新鮮外気は床下空間に取り込んだ時点で6~10℃の温度になるため、チャンバー内で結露する心配もありません。

給気と排気の熱交換を行う床下設置のチャンバー

 また、VOCなどの有害化学物質は空気より重く、低い位置に溜まりやすくなるため、室内空気汚染を防止するには床面付近での排気が有効との考えから、排気グリルは床面設置としました。チャンバー方式にの採用によって、容易なダクト配管や排気ダクトの圧力損失の低減、排気グリルでの簡単な流量調節なども可能となっているので、長期にわたって換気能力を維持し、メンテナンスも簡単にできるようになっています。


室内空気質はVOC測定・換気風量測定で確認

住まいの健康性を担保するため、空気中の有害化学物質濃度をVOC測定によって確認

シックハウス症候群や化学物質過敏症のリスクが少ない健康的な室内環境を確保するためには、換気システムが計画通りに動いていることはもちろん、VOCを含まないまたはVOCの放散量が少ない建材等の採用が重要ですが、住まい手の方が購入する家具やカーテン・カーペット等のインテリア用品、消臭剤・芳香剤などか放散されるVOCによって、室内空気が汚染されている可能性もあります。

そのため、入居後に室内空気汚染が原因と思われる体調不良に見舞われた場合、その原因を特定するのはかなり大変です。原因が住宅に使われている建材等にあるのか、購入した家具やインテリア用品等にあるのか、または換気が不足しているのか、特定するのがかなり困難だからです。

光輝建設では、万が一VOCによる室内空気汚染が疑われる状況になっても、すぐに原因を特定できるよう、住宅をお引き渡しする前にVOC測定・換気風量測定を全棟で実施。原因が住宅にあるのか、家具・インテリア用品等にあるのか、換気不足にあるのかを切り分けて考えられるようにしています。

室内のVOC濃度を下げる手段の一つであるベイクアウト。VOC測定を行っておけば早い段階からこのような対策が取れます

VOC測定は光輝建設も測定事業者として登録しているNPO法人 日本VOC測定協会で行っています。同協会のVOC測定は、VOC谷シックハウス症候群などに関する知識・経験を有する認定試験に合格・登録されたVOC測定士が実施。厚生労働省の指針に基づいてホルムアルデヒドなど指針値が定められているVOC8物質を、精度の高いアクティブ法で採取(サンプリング)して分析しています。測定を行うVOC測定士と分析を行う機関は、客観的信頼性を確保するため、光輝建設以外の第三者となります。

換気風量測定は、「スーパー澄家(すみか)」を設置した後、給気口や排気口で空気が流れる量を測定。専用の風量測定機を用いてそれぞれ計画通りの換気量が確保されていることを確認します。


断熱・気密・暖房・換気を高いレベルで

健康で快適な室内環境は、断熱性・気密性といった住宅性能の高さはもちろん、使用する木材・建材等の適切な選択や、良好な室内空気環境を確保するための配慮などによって、断熱・気密・暖房・換気を高いレベルで実現して初めて得られるものです。

光輝建設では、断熱・気密・暖房・換気のいずれも高いレベルでバランスが取れた家づくりを進めています。ここでは「スーパー澄家(すみか)」についてご紹介しました。続いて耐久性・耐震性・信頼性に優れた構造体のベースとなる「2×4工法」のページをぜひご覧下さい。

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